Story

宮入バルブの
[食品加工機器+6次産業化]

株式会社宮入バルブ製作所は、ガス用バルブ類の開発・設計を行い、製造から販売まで



一貫して取り組んでいる
バルブメーカー(東証スタンダード市場上場)です。

1949年創業以来、日本のLPG(液化石油ガス)の発展とともに事業を拡大し、



現在ではLNG(液化天然ガス)向け製品や、ガス以外の様々な流体向けのバルブ製品、



食品向け加工機器用サニタリーバルブ・ろ過システムなど、幅広い関連事業を展開しています。

バルブ製造や部品加工など、従来の工業メーカーとしての事業とは異なる、



新たな事業のひとつとして計画されたのが「食品加工機器+6次産業化」でした。

6次産業化とは

農林水産省の資料にて、次のように定義されています。

一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組

宮入バルブとワイン

昭和34(1959)年7月、当社は山梨県甲府市郊外(=現・南アルプス市)に工場を設立します。

山梨県は、広大な自然と水はけの良い土壌、ぶどうの生育に適した気象状況などにより、1000年以上もの昔からブドウの生産が盛んな地域でした。国内有数のブドウの名産地であることから、明治時代からは政府主導のもと醸造所が設立され、日本初の国産ワインが醸造された土地でもあります。

ブドウの品種改良やワイナリー設立が盛んとなり、国際コンクールでも受賞するなど世界的にも山梨県産ワインが注目を集め、現在では県内に89社のワイナリーが名を連ねるほどになりました。(令和6年1月1日現在)

製造の過程でいろいろな機械(タンクや配管・濾過器など)を経由し最終的に瓶詰めされ出荷されますが、その様々な工程で専用の機材が使用されています。

これまで多くのワイナリーでは、海外メーカー製の部品や機械を使用していたため、思うようにメンテナンスが行えないという課題を抱えていました。そのような中、いくつかのワイナリーからの相談を受け、当社は2017年よりワイン醸造用機器の製造を開始しました。

これらの機器には当社がガス用容器で培った、タンクに流す流体の量を自動的に一定に保つ液面計の仕組みや、ガスの量をはかり安定した流れを保つ技術が応用されています。

株式会社宮入バルブ製作所が
開発した「ワインろ過器」

主に山梨県のワイナリーへ機器の提供を続ける中で、さらなるワイン醸造機器開発のテスト施設をとして、当社独自のワイナリーを立ち上げるという新たな挑戦に踏み出しました。

名前はすぐ横を流れる川に由来し「御勅使川(みだいがわ)ワイナリー」と命名。工場横の自社敷地内に約1ヘクタールのブドウ圃場を設け、垣根栽培で2023年の春から苗木の定植を開始しました。ブドウの栽培にあたっては、志村葡萄研究所の志村富男氏にコンサルティングいただいております。

南アルプスの気候にあったブドウを栽培するため、品種の選択を熟考し「シャルドネ」「ピノ・グリ」の他、南アルプス市の気候と相性が良い交配品種を定植。またワイン醸造のスペシャリストとソムリエを新たに採用し、本格的に稼働しました。

宮入バルブ製作所 敷地内のブドウ圃場

自社圃場で収穫したブドウに加え、山梨県産のブドウも用いて12種のワイン醸造を開始し、2025年4月からそのうち8種類のワインの一般販売を開始しました。

栽培から醸造まで一貫して自社で行うことにこだわり、自然と調和しながら持続可能な農業を実践し、次世代へと続く豊かな未来を築いていきます。

「当社のテクノロジーを活用した国産のワイン醸造機器の開発をしつつ、山梨県全体のワイナリーと手を取りながら“山梨ワイン”を盛り上げる一翼を担えたら」と醸造責任者の進藤利江子は語ります。

充実した果実味と酸とのバランスの取れた、美味しいのはもちろんのこと、南アルプスの風と水を感じてもらえる、当社のワイン造りにご期待ください。

醸造責任者・進藤 利江子

御勅使川ワイナリー/南アルプスFarm&Labo 公式SNS

散水ノズルをきくらげ栽培に活用

宮入バルブでは、様々なバルブ機器のほか、食品用サニタリー関連製品や散水用ノズルの製造・販売を行ってきました。

このノズルを用いて農業に活かせないかと考え、たどり着いたのが「きくらげ」の栽培事業でした。日本で流通しているきくらげのおよそ90%が中国産であり、国産のきくらげは非常に稀です。

きくらげの栽培は大きく分けて原木栽培と菌床栽培の2種類があり、どちらも定期的に水を散布し湿度や温度を管理する必要がありました。そこで活躍するのが散水ノズルです。

宮入バルブでは無農薬きくらげの栽培を目指し、自社農場を設立しました。

これまで培ってきた工業技術(Labo)を農業事業(Farm)に活用させるという発想から「南アルプスFarm&Labo」と名付け事業がスタートしました。

菌床づくりから栽培、収穫までIT・IOTにより空調管理が徹底されたビニールハウス内で、農薬を一切使用せず栽培し、一つ一つ丁寧に選別しています。

南アルプスFarm&Labo 内きくらげ農園の様子

ミストをすみずみまで行き渡らせることができる、特殊開発の散水ノズルの成果もあり、すくすくと成長したきくらげは、山梨県の道の駅やスーパーなどで販売したり、農業フェス・食品フェスなどにブース出店を行うなど、徐々に注目を集めるようになりました。2023年の明治神宮で行われた「秋の大祭の奉献品」として選定され、「肉厚で美味しい!」「今までにないくらいプリプリ」と評判をいただいています。

農園の設備も拡大させ、安定した生産ができるようになり、今後は設立当初の栽培量の3倍超となる月間1.5トン以上の生産を目指しています。

当サイトでは、採れたての「生きくらげ」を販売中です。乾燥きくらげとは異なりぷりっとしたみずみずしい食感が特徴で、その違いをきっと実感いただけると思います。1パックからでも購入できますので、ぜひご賞味ください。

御勅使川ワイナリー/南アルプスFarm&Labo 公式SNS

株式会社宮入バルブ製作所は70年以上の歴史の中で、バルブ製品だけでなく



様々な金属加工や技術開発を行ってきました。
ワイン・きくらげ農園以外にもさまざまな農業事業へ応用をすべく、



食品加工機器+六次産業化への新たな挑戦は続きます。